2010年6月26日土曜日

動画活用の上手さ

米国系企業というのは、インターネットを介した情報提供に長けている。マーケティング大国だから、専門教育もピカイチだし、動画活用のノウハウは、教育機関外でもどんどん共有されているのだろう。

誰もが知っている無料動画共有サービスのYouTube。
筆者も、トレンドを探る目的でよくYouTubeを活用する。キーワード検索して、どれくらいトピックスがヒットするか、という炊事を見だけでも、かなりのことがわかる。
YouTube設立のきっかけは、友人たちに、パーティーで撮影したビデオを配る方法として思いついた技術を、創業者たちが活用しようとしたことによるそうだ。設立して1年もたたずに、大手ベンチャーキャピタルから巨額融資がついたという。商売のタネをキャッチして広げる才覚があれば、誰もがYouTube予備軍になれる。

以下は、2007年の4月に投稿された動画で、「潤滑剤のはたらき」というタイトルで、YouTubeサイトに公開されている。


このビデオが作成された目的は、なぜかはっきりしない。作者名・クレジットも見つからないのだが、YouTubeにアップされて時間が経過しているので、えいやで載せることにした。無料で公開しちゃって大丈夫?と心配になるほど、情報量が多く、リッチな内容となっている。パートIIとセットで見て欲しい。
このような教育ビデオに限らず、プロの手を介さないブレブレの画像を活用した商業目的のビデオが、YouTubeには膨大にアップされている。画質が悪くても、音声がノイズだらけでも、クリティカルな場面を映しだした画像は、時としてびっくりするほど役に立つ。
仕事の合間に見つけた、ちょっとユニークなビデオを紹介していきたいと思う。
Midori

2010年6月11日金曜日

初心!

いやはや、忙しい1か月を送ったものだ。気づけば、このブログもかなりの放置状態だった。反省。
今日から、また徐々に調子を取り戻していきたい。

ところで、
リーン生産方式、という概念をご存知だろうか?
筆者の関わる分野に関係が深い言葉だが、平たく言えば、トヨタ生産方式のいいとこ取りである。

ネットで検索すると、面白いことがわかる。

もともと、日本に端を発する言葉であるのに、「Lean Manufacturing」のヒット数と、「リーン生産方式」のヒット数では、一桁違うのだ。
米国語として完全に定着しており、この概念を用いた書籍や、テーマとして取り上げられた記事は膨大である。

リーン生産方式の伝授を旗印としているコンサルタントも、実に多い。
GEMBA、KAIZEN、KANBAN、5S(Seiri、Seiton、Seisou、Seiketsu、Shitsuke)といったおなじみの言葉も、通常のキーワードとして使われている。

いわゆる「見える化」は、「Lean Visual Management」などと言い換えられ、盛んに奨励されている。




ちなみに、トヨタ関係者に、リーン生産方式について聞くと、「ウチとは関係ない考え」と、むっとされることがあるので要注意。

以上が前置き。

今朝受け取った英文のメルマガに、面白いことが書いてあった。発行元はGemba Research LLC。
言うまでもなく、Gembaは、「現場」から来ている。


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Where to Start?

 成功した人生を送りたい、頭角を表わしたい、と思っている人は多い。そんな願望を持つ人々の、よくある質問に「どこが、(成功の)起点となるのか?」というものがある。米国のユーモア作家 マーク・トゥエインは、「頭角を表す秘訣は、着手することだ。着手する秘訣は、どうしようもなく複雑で入り組んだ仕事を、着手しやすい小さな仕事に分け、それから最初の仕事に着手することだ」と書いている。
 この健全なアドバイスは、個人のための改善指標であり、組織変革のための指標でもある。

 リーン生産への変革が進んでいくにつれ、また、問題解決に向けた大きなチャレンジが成功していくと感じるにつれ、我々はしばしば自問する…「次に、何をすべきか?」。これはまさに、次の最前線のステップに移行する際の、本質的な問いかけである。時にこれは、我々が直面している基本的なチャレンジを超え、さらなる進歩を目指す、ということに思える。おそらく、我々の視点は鋭くなっており、より小さな欠陥や、これは極めて基本的な問題に過ぎない、といったことにも気づくだろう。あるいは、難しい問題が、あまり難しくなくなっていることに気づくだろう。

 しかし、我々がやっていることを、軽んじるべきではない。

 禅宗において用いられる言葉に「初心:Beginner's mind」がある。あなたの知識範囲が、初心者あるいは上級者のものであるかに関係なく、これは、学ぶことへの謙遜さ、開放性、熱意を意味する姿勢である。我々は、初心者の気持ちで先入観を排除し、知識への熱意とともに進歩する、あらゆる機会に向き合うべきだ。我々にとっての初心の本質とは、感傷的な想いを指すのではなく、我々の心の中にある“初心者として始めるための場所”である。

Jon Miller, CEO
Gemba Research LLC

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異国の方に、禅宗の心まで述べられるとは、恐縮の極み… しかし、さすがコンサルを商売にしているだけある。人の気持ちの中に入り込むには、何をつかんだら効果的なのかを知っている。普遍的なものに、国境はないのだということも、改めて思い知らされる。

「初心、忘れるべからず」。この言葉を、ブログの再開にあたって、自分自身の気持ちに刻みつけよう。

というわけで、本日から再開しました。
(Midori)

2010年5月1日土曜日

動き出すもの、静止するもの


4月は、始まりの季節。雪解けや桜の咲く季節と重なっているためか、日本人はこの季節に、特別のエネルギーを感じるものだ。
大都市を中心に、建築現場が一斉に動き出すのもこの時期。「期が変わる」前と後では、わずかな時間の差であっても、まったく状況が違う。
写真は、第一京浜(国道15号)沿い品川駅近くの再開発の模様だ。かつては大手企業の社員寮があった土地を、東京都が買い取って新たな拠点を作ろうとしている。着工が4月、竣工が8月と表示されている。まだ基礎工事すら終わっていないようだが、現場は活気に満ちている。
再開発という言葉には、昔、政治や利権がらみのダーティなイメージがあった。幹線道路や鉄道などの基幹工事につきものの区画整理や、ダムなどのインフラが絡んでいたからだろう。現在は、都市機能を発展させるためのてこ入れ、という大義に、一般人のイメージも落ち着いている。
ここからわずか数百メートルの距離に、かつて話題になった京品ホテルがある。営業停止措置を強制執行されてから1年が経過した今、現場はフリーズしたままだ。
ホテルの入り口にはベニヤ板が貼られ、窓には目隠しなのかスプレー状の塗装跡がある。看板の類すら、外されることなく残っている。
不当解雇、と憤ったかつての従業員の方々は、裁判に持ち込んだ案件のいくつかで、今年1月に勝訴した。しかし、土地と建物は破産管財人扱いのまま、どう運営されるのか決まってないようだ。
品川駅の目前に凍る行き場のない、静止を続ける建物。通行人の目に止まることすらない。
かつては、ビジネスマンに重宝されたホテルだった。つくりは古いが、風情があった。地の利がいいので、仕事で使わせてもらったこともある。どんどん進む品川再開発のヘソの部分で、いつまで静止を続けるのだろうか。
Midori

2010年4月29日木曜日

現場取材雑記_4

今までお世話になったプロカメラマンの一人に、若手ながら素晴らしい方がいる。
初めての撮影現場に、彼はご自身が所有するステップワゴンに、あらゆる器材を満載してやってきた。カメラ2機、ストロボ、レンズ、露出計その他の詰まったバッグ、三脚、レフ板を抱えて、室温40℃近傍の現場に入り、一人で絵作りをしてくれたのだ。機械設備が吐き出す大轟音と熱、蒸気、限られた時間を前に、淡々とにこやかに構図を決める。シャッターを切る前に、試し撮りの絵を必ず見せてから本番に入る。被写体となる人の気持ちを盛り上げることも忘れない。大轟音の現場をバックに並んだ現場のスタッフは、その仏頂面を、カメラマンである彼の「はい、チーズ!」の一言で、思わずほころばせたのだ。
「プロだ…」と唸るのみだ。実際、彼ほど柔軟で、機転が利き、一緒に仕事をして楽しい方はいなかった。私は相変わらず、素人写真しか撮れないが、最低限必要な絵作りのコツを、彼からたくさん学んだ。お支払いできるギャラの額を、はるかに超えた貢献をしてくれたのだ。
残念ながら、一緒に取材の成果を発表できる場となっていた雑誌は休刊となった。
だが、「製造現場の絵本を作ろう」という考えに賛同してくれた彼と、新しい絵本を作る機会を絶対に作るつもりだ。
製造現場は美しい。その想いが共有できる方と、奇跡のように出会た。
Midori

2010年4月26日月曜日

春が来た

江東、という名前の語源は、江=隅田川、東=川の東、であるらしい。永井荷風の小説に有名な「濹東綺譚(ぼくとうきだん)」の濹、も、やはり隅田川を指すのだそうだ。「川向こう」という言葉にも表れているように、隅田川の東側は上から目線で表現すると、“大江戸とはちょっと違うあっち側”ということになろう。
川向こうの江東区には、運河が縦横に走っている。近年は、川の浄化のため、あらゆる策をほどこしたおかげか、運河には小魚が戻り、その魚を狙って水鳥も増えてきた。
数ある運河沿いに位置する、某“広大な敷地”を、外資系ハイテク機器メーカーが買付け、「ここを本社とする」と宣言したのは2008年5月。プレスリリースによると、国内社員6,000人がここに結集し、「新社屋についての続報は、逐次発表する」としていた。
着工後、あっという間に整地され、基礎が築かれた…。その後、工事は止まった、あるいはスローダウンした…。この現場だけでなく、国内のあらゆる大型プロジェクトが、2008年末から一時休止、凍結、中止となった。
続報は発表されないままだったが、現在、その新社屋の竣工は2011年初頭を目指し、ご覧のように大型重機を幾つも導入して、追い上げにかかり始めたようだ。
新社屋完成と同時に、6,000人の社員の方々は、ここ江東区に親しむことになる。シリコンバレーからも、世界各地の拠点からも、この運河沿いの穏やかな地にやってくる。一年後、ここから撮影する風景は一変することになる。
それにしても、本当に春がやってきたんだな…
Midori

2010年4月25日日曜日

自転車で居酒屋へ_1

山城屋酒場。いつも常連さんで一杯
筆者の住まいがある江東区は、古くからの大衆酒場の宝庫だ。江戸時代から下町、と呼ばれてきたエリアなので、客の志向も古くから受け継がれてきたのだろう。「新しい店ができた」と思っても、いつの間にか消えてしまい、結局、生き残るのは老舗。不思議と居酒屋には、敷居の高いエリアである。

山城屋は、江東区の老舗居酒屋のなかでも、超有名店だ。創業は明治時代という。最近は、TVや雑誌に取り上げられることが増えたためか、常連に混じって、いかにもオシャレな若者が、うつむきがちに煮込みをつついていたりする。

行くときはいつも自転車。いずれの最寄り駅からも、ちょっと距離があるので、自転車に限る。ご近所さんの自転車も、店の前にずらり。幸せなことに、江東区の人気店のほとんどが、自転車で行ける。
つまみは、何でも美味い。それに安い。お店の美人のお姐さん(ハルちゃん)の手際が鮮やかで、注文してから数十秒でドリンクのお代わりが出てくる。
長居の常連も、さっと飲んでお帰りになる常連もいる。彼らが作ってくれる雰囲気のおかげで、マナーの悪い奴は来ない。そこも素敵なところだ。

江東区の老舗大衆酒場には、有名人が常連となっている店も多い。なぎら健壱氏、あるいは吉田類氏来店の痕跡があれば、太鼓判。山城屋も当然のように、お二人から太鼓判を押されている店だ。

もう少し季節が進めば、カワエビのから揚げが出てくる。楽しみだ。
(いかにも常連のように偉そうに書いてしまいました…通い始めて2年です。スミマセン)
Midori

2010年4月23日金曜日

ワイングラス5つ

仕事でお世話になった方々と、久しぶりに集まる機会があった。

皆、業界の重鎮中の重鎮。著名な研究者でもあり、大先輩でもある。

時間が経つのを忘れるほど楽しかった。

研究者というのは、本当に持論を伝えるのがうまい。さらりと凄いことを言う。
辛辣なテーマも笑いに載せるから、後を引かない。
まず始めに、主文が来て、論旨が続く、という論文形式の運びに慣れているからか。
それにしても、笑いのセンスはどこで磨いているのだろう…

仕事が縁でつながった方たちだが、一生大切にしたい宝物のようなご縁だ。
それほど自分の人生も悪くないな、と思える。

5つ並んだワイングラスをとどめておきたくて、撮ってみた。
猪口も並んでいるのはご愛嬌で。
Midori