2010年4月16日金曜日

現場取材雑記_2


メンテナンス Maintenance という言葉は「保全」と訳されることが多い。英和辞典には、確かに補修管理、整備、保全、などの意味が並列に載っている。しかし、“現場”でのメンテナンスとなると、補修管理も整備も保全も、全てを統合しないとメンテナンスという意味にならない。「保全」には危機管理というニュアンスが強く感じられるため、メンテナンス=保全ではない。

言葉の屁理屈はさておき、製造の現場は楽しい。まず、現場に入るまでが大変だ。私の経験から、取材を申し込んで成功する確率は、強力なコネがあって50%、コネがなければ10%以下だろう。
稼働率が高い工場には、まず入れない。邪魔するだけだ。稼働率が低くてもだめ。かっこ悪いから、という理由で断られる。

そんな大変な思いをして、さあ現場。
油の焦げたにおいがする。どんなにクリーンな現場(スーパークリーンを除くが)でも、必ずこのにおいが、かすかに残っているものだ。私は、このにおいが大好きだ。現場の汗、あるいは涙のようで、強い生命力を感じる。
メンテナンス係は、オペレーターとは違う視点で設備をみる。機器が正常に稼働しているかどうか、目だけでなく、耳、鼻といったセンサーを働かせて、設備のアラ探しをするのだ。

写真は、某製造現場で撮ったもの。メンテナンス係(保全担当者、という名前だったが…)の七つ道具が詰まっているカートだ。一人ひとりに、このカートが与えられる。整理する方法まで決まっている。
何かコトが起こると、このカートを引っ張っていき、すばやく対処するのだ。
この現場では、古くなった大型ギヤを前に、複数のメンテナンス係が議論していた。補修の対処法についての意見が割れたのだ。
夢中で写真を撮った。ストロボも光る。誰も振り向かなかった。
Midori

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